本展覧会では、オランダ人の生活を根付、木版画、絵画を通して紹介します。日本人が「紅毛人」と称したオランダ人は、1633年から1853年までの間、日本に滞在を許された唯一の西洋人でした。この紅毛人は、日本人の目にどのように映っていたのでしょうか。当時のオランダ人の生活を描いた『ヤコブ・デ・ゾートの千の秋』(ディヴィッド・ミッチェル著、2010年)、さらに、華麗なユダヤ人一族の運命を一族の手元に残る根付コレクションで追った『琥珀色の目をしたうさぎ』(エドムンド・デ・ワール著、2010年)の二冊の本(いずれも邦訳なし)を引用し、展示作品をわかりやすく説明しながら、作品が語るオランダ人の生活をさらに生き生きと伝えます。
展覧会を構成するのは、普段は見ることのできないクーン・ヒレ氏の根付コレクション、また、アムステルダムの海洋博物館やロッテルダムの海事博物館から借用する珍しい作品、川原慶賀(1786−1861)の水彩画、ヤーコブ・スピン(1806−1875)の船画、長崎絵に横浜絵、さらにはヨーハン・マウリッツ・ファン・レインデン伯爵(1807−1864)の水彩画10枚です。これは、ファン・レインデン伯が、日本滞在時に描いたスケッチをオランダに帰国後に水彩画として仕上げたものです。
本展覧会を通じて、オランダ人が(行動の自由が許されなかったにせよ)、日本でいかに特別な地位にあったことがおわかりいただけるでしょう。根付、木版画、絵画は、出島でのオランダ人の歴史を語ります。また、根付が、日本人の異国人への尽きない興味を表現する一方、ファン・レインデン伯爵の水彩画は、出島をオランダ人の目線で表現します。
本展覧会は、歴史と美術いずれの愛好家にも楽しんでいただけることはまちがいありません。
お子様の五月休暇には、イベントたくさんご用意して、お待ちしております。
詳しくは、www.sieboldhuis.org をご覧ください。