155点の古写真で明治日本の姿をご覧ください。黒川翠山写真コレクションは世界的に有名な明治古写真の個人コレクションで、国外ではまだ展示されたことがありません。
明治初期、産声を上げたばかりの写真産業は、西洋人観光客の来日の煽りを受けて新しい市場を開拓します。当初は土産物として制作されていましたが、すぐに観光案内として一役買うことになります。西洋人観光客は到着するとまず写真屋に足を運んだといいます。その先の旅程を決めるために、装丁美しい写真帖を購入するためです。このような写真は徐々に日本人の顧客の間でも評判となり、写真産業は木版画と市場を争うまでに成長します。写真は、その構図の正確さはもとより、そこに手彩色を施すことで、驚くほど完成度の高い作品となります。新しい次元の躍動感を写し出すことに成功したのです。
美しく着飾った芸妓衆、甲冑を付けてポーズを取る人物、相撲取り、また日常の生活から抜きん出る人物像、庭園、賑やかな街角風景、歌舞伎公演と、写真は、文明開化に熱を上げる明治の人の生活を知るための信用度の高い史料です。『ガラス乾板に見る明治日本』展は、写真史はもちろん、文化史においても転換期を迎えた日本を黒川コレクションの古写真を中心にしてご紹介いたします。
黒川翠山の他にもフェリーチェ・ベアト、ライムント・フォン・シュティルフリート、アドルフォ・ファルサーリ、日下部金兵衛、上野彦馬といった同時代の写真家の作品を、27点の関連物品とともに展示いたします。
なお、本展はライデンの後、ヴィンタートゥール(スイス)、サンパウロ(ブラジル)へと巡回いたします。
また、ゲストキューレーターのセバスティアン・ドブソンによる展覧会図録も販売いたします。詳細は当館ホームページにて、ご確認ください。
Japan on a Glass Plate, The Adventure of Photography in Yokohama and Beyond, 1853–1912, Sebastian Dobson著 (Ludion 2023), 208ページ、ハードカバー、価格 €46,50。
このカタログはミュージアムショップでも販売しております。