もっともアイコニックな日本美術といえば、葛飾北斎の「神奈川沖浪裏」(1830年)。数ある浮世絵の中でも、もっともよく知られる、そしてもっとも目にする機会の多い作品です。
この短期型企画展では、葛飾北斎の『富嶽三十六景』から「神奈川沖浪裏」を二点(いずれも個人蔵)ご覧いただきます。ぜひ比較して見てください。また北斎が同時代の絵師、あるいは19世紀から20世紀に西洋の画家らに及ぼした影響をこの機会にぜひお確かめください。
1828から1829年頃、北斎(1760-1849)と版元の西村屋与八は風景画のシリーズをそれまでの小さな判ではなく、大判で刊行するという画期的な計画を練っていました。旅をする人口が増えたこと、そして土産という慣習で『富嶽三十六景』は大ヒットしました。刷数は8千枚とも一万枚に及んだとも言われています。本展でもこの中から何点かご覧いただけます。
北斎の成功は、歌川広重 (1797-1858)や歌川国芳 (1798-1861)といった絵師、さらにはクロード・モネ (1840-1926)、ヴィンセント・ファン・ゴッホ (1853-1890)といった画家らにも影響を与えました。
美術史上、西洋画以外で北斎の神奈川沖浪裏ほどよく知られた作品はありません。その知名度はダ・ビンチのモナリザやムンクの叫び、ゴッホのひまわりにも匹敵します。デザインは際限なく再生され、構図は人々の想像を掻き立て続けています。
序文:クリス・スヒールメイヤー
著者:クリス・ユーレンベック、ジム・ドゥインガー
協賛:文科文化省、ライデン市、ライデン大学、ファンド 21, イサーク・アルフレッド・エイリオン財団、オランダ武田薬品、シーボルトハウス友の会